【ひふみ投信】投資家が「お金」よりも大切にしていること
あなたにとって、お金とはいったいなんでしょうか?
少し漠然としていて、つかみどころのない質問かもしれませんね。では、具体的に考えていくためにつぎの問題に答えてみてください。
【問題】
あなたはコンビニでペットボトルのお茶を買いました。値段は150円。
そのお金は、コンビニのレジに収まったあと、いったいどこにいくのでしょうか?(P8)
冒頭にこのような面白い問題を出してくる著作があります。
この著作の著者は、投資家でファンドマネージャーの藤野英人氏です。かつて、ゴールドマン・サックス系の資産運用会社を経て、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業させた言わば「お金」のプロです。
そんな著者はこのように語ります。「資産家はお金よりも大切にしていることがある」なんとも意味深な発言ですね。
本記事は「お金」について考えてみる内容となります。学校では教えてくれない「お金」の本質について「資産運用」のプロに教えてもらいましょう!
【元ネタ本】
「ひふみ投信」藤野英人氏とは
冒頭問題の答えはなんでしょうか?
著者は、明治大学で、起業や起業家精神について学ぶ「ベンチャーファイナンス論」の授業をしている講師でもあります。そこで、大学生に同じ質問を出したところ、以下のような答えが返ってきました。
学生A「サントリーとかアサヒとか、そのお茶をつくったメーカーの売上になる」
学生B「メーカーじゃなくて、コンビニの売上にもなります」
学生C「コンビニ商品をはこぶ運送業者の利益にもなるのでは?」
こういった感じに、いろいろな答えが返ってきたのですが、このどれも正解となります。実はこの問題の正解は1つではなく、無限にあり以下がほんの一例となります。
【本書抜粋】
飲料メーカー、メーカーの営業マン、コンビニ、レジのアルバイト、運送業、ドライバーさん、お茶農家、肥料業者、農具メーカー、パッケージのデザイナー、イラストレイター、ソフトウェア会社、ペットボトルの素材業者、銀行、消費者金融、タンカー業者、海運業者、印刷会社、税理士、税務署役人、自動販売機メーカー、広告代理店、タレント事務所・・・(P10)
つまり私たちの買い物が、これだけ多くの会社の売上になり、そこで働く多くの人の給料になっています。普段は、当然のようにお金を稼いだり、貯めたり、使ったりしていますが「そもそもお金とは何か?」を考えることはあまりありませんよね。
そこで少し「お金」について考えてみます。
自分も含め、多くの人が「お金」への価値観をこのように考えていると著者は語ります。
【本書抜粋】
稼いだり、貯めたり、増やしたりしたお金を「どう使うか」ということに関しては、あまり語られません。そういった本もほとんど見かけません。
それは、とても不思議なことではありませんか?
お金はあくまで概念であり、誰かと何かを交換するための手段であるはずなのに、自分がお金を所有すること自体が目的になってしまっているかのような印象を受けます。(P17)
ファンドマネージャーは、こんな考え方をしてるのですね。
そこで、知っておきたいことは「お金」そのものには価値はなく、お金は使って初めて輝きを放つ「道具」だということです。
日本人はお金が大好き民族
「お金儲け」のイメージとは?
多くの人が、お金に対してあまり良いイメージを持っていないと著者は語ります。
お金儲けの話しをすると、なぜか「汚い奴」や「腹黒」などと言われます。実際に明治大学の授業でアンケートをとってみると、8割の学生に「投資=ダーティー」や「お金儲け=悪」という結果が出ました。
この背景には、戦後の名残で「贅沢は敵」という思想が未だに根強く残っていることが原因だと著者は語ります。しかし、著者は日本人ほどお金が大好きな民族はいないと言います。
その理由は、日本の現金預貯金の比率が世界標準に比べ異常に高いからです。
現金預貯金比率は日本が55.5%、アメリカは15.3%、イギリスは32.2%、ドイツは39.4%、フランスは31.3%となります。
日本人は「現金」と「貯金」の比率が異常に高く、現金が大好きな民族と言えます。
ちなみに個人金融資産の総額は1400兆円だと言われますが、その半分の800兆円以上が「現金」と「貯金」という徹底ぶり。日本でキャッシュレス化が進まない理由には、このような背景があるからかもしれません。
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ーー日本人は世界一ケチな民族?
日本人はお金に対してケチでもあると著者は語ります。
アメリカでは、年間で成人1人あたり約13万円のお金を寄附しています。日本人は年間で2,500円でアメリカの52分の1です。
「アメリカ人の年収が高いから寄附するだけの余裕があるのでは?」と思うかもしれませんが、それも違います。
年収が2万5,000ドル(250万円)の人の年収の4.2%は寄附に回しています。日本人は、困っている人に寄附する事も社会の為に投資することもなく、自分の現金や貯金を守ることしか考えていないケチな民族だと著者は語る。
ちなみに、日本人の遺伝子はすごく優秀だと遺伝子工学の研究によって判明しています。
日本人の誰しもが世界的にみても優秀な遺伝子を持っています。それでも、ちっとも生活に余裕ができない理由は、戦時中のマインドが物凄く強かったことを意味していますね。
「贅沢は敵」「貯金運動」の洗脳は戦後73年経った現在でも未だ健在です。
そして、著者は読者にこのような問いをしています。
【本書抜粋】
あなたは「お金」よりも信じれるものがありますか?
あなたは「お金」よりも大切なものがありますか? (P47)
さて、あなたはこの質問にどうお答えしますか?
継続的にお金を稼ぐ方法
「継続的」にお金を稼ぐ人と「成金」との違いとは?
この答えは非常にシンプル。「悪いことをしていない」ということです。
「お金をたくさん稼ぐ=悪い事をしている」という図式が一般的なイメージです。しかし、昔であれば汚い事をして稼げたかもしれませんが、現代では絶対に無理だと著者は語ります。
それは、著者が実際に多くの上場会社の経営者と知り合ってきた経験値から断言しています。継続的に稼いでいる経営者の共通認識が「清く豊かに」を目標にしているのが現実です。
この思想は「理想像」に聞こえるかもしれませんね。
しかし、現代はSNSなどで個人が簡単に全世界へ情報発信できる社会です。悪徳業者の評判はすぐネットで晒されています。
ーYouTubeで晒された悪徳業者
この動画は、お祭りの屋台で「あたり」が本当に入っているのかを検証した動画です。
再生回数はなんと24,124,127回!
結局「あたり」は入っていませんでした。
このような実験をするYouTuberはたくさん存在しており、すぐに動画でアップされます。本例のように悪い事をして、大金を稼ぐということ自体が現代では無理があると著者は語ります。
ちなみに、堀江貴文氏も似たような発言をしています。
【引用】
「個人の信用=お金」 著書:ゼロ
継続的に稼ぐお金持ちは、人一倍努力家であり多くの人に信用されているところがホントのところです。投資家も経営者も信用されることが「お金」よりも大切にしています。
継続的に稼ぎたいなら、プロ意識を持って謙虚な姿勢が必要だということですね。
投資とはなにか?
最後に「投資」とはなんでしょうか?
「投資とは、いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくこと」だと著者は語ります。
お金はエネルギーのひとつです。
本ブログを読んでいるあなた様も貴重な「時間」という資源を投資して、未来に使える知識をいま入手しています。投資とは「読書」「勉強」「スポーツ」すべてにあたります。
つまり「お金を使ってどう素敵な未来を皆で共有するか?」これを考える事が投資であり「お金を考える」でもあります。
本書にこのような一説がありました。
【本書抜粋】
日本の未来が暗いと言う人は、あなた自身が日本の未来を暗くしているのです。
自分の将来を悲観的に感じる人は、あなた自身が自分の事を信じていないのです。
お金が欲しいという前に「お金について」考えることの重要性を本著作から学びました。宝くじの高額当選者の末路も散々たるものです。
仮に「お金の知識」があったら高額当選者はより豊かな人生を歩んでいたのではないでしょうか。
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まとめ
・お金が欲しいよりも先に「お金とは何か」を知っておく必要がある。
・日本人は優秀な遺伝子を持ちながら、とてもケチな民族。
・継続的に稼ぎたいなら「悪いことでは稼げない」ことを知っておく。
いかがだったでしょうか?
著者は投資業界では、知らない人がいないと言っても過言でないぐらい「スーパーファンドマネージャー」です。そんなお金のプロの授業をたった820円で買えてしまう日本に生まれた僕は幸せ者です!
おすすめの著作です。ぜひお手に取ってみてくださいね!