空き家活用。弁護士が教える「空き家」に対する具体的対処方法
「空き家」が急速に増加している事をご存知ですか?
平成27年2月26日に、空き家等対策の推進に関する特別処置法(以下「空家対策特措法」と略します)が施行されました。
だからなに?w
そう思う方もいるかと思いますが、ちょっと待ってください。これは非常に大事なことです。なぜなら、私たちの支出の大半が住宅コストだからです。
現在は空き家に悩まされていない方もでも、のちに悩みの種になり、生活を圧迫する可能性があります。
そこで、「空き家」が増えるとどうなるのか。すでに「空き家」を持っている人はどうすればいいのかを、空き家相談士×弁護士である玉木賢明氏から教えていただきましょう!
ーー本編入る前に余談。
「はてなランキング」1位のブログが「物件契約時の初期費用」について書かれたブログでした。そのブログには、新居契約にかかる費用を節約できたという内容でした。
まず、皆さんに知っておいてもらいたいのは、マンションやアパートを借りる際に不動産屋に支払う仲介手数料は宅建業法で「0.54%」と決まっています。家賃1ヵ月分は払い過ぎです。
不動産屋が提示した見積もりに、仲介手数料家賃1ヵ月分と記載されていた場合は、注意してください。もし、この報酬を仲介業者がもらう場合は、賃借人に承諾義務があります。
よく「仲介手数料は50%です!」とか謳っている不動産屋がありますが、それは安くもなんともなく、ただ法律で決められた報酬上限です。ですので、仲介手数料は「家賃の0.54%」つまり、家賃の半額+消費税と覚えておいてくださいね!
ちなみに売買・交換の媒介報酬も宅建業法で上限が決まっています。それが上記表です。これ以上の報酬を業者は貰えません。
建売新築や中古物件を買う際の見積もりは必ずチェックしてください。宅建業法違反は犯罪です。
では、本編に入りましょう!
【元ネタ本】
空き家対策の処方箋―利・活用で地域・都市は甦る! (コミュニティ・ブックス)
- 作者: 玉木賢明
- 出版社/メーカー: 日本地域社会研究所
- 発売日: 2017/10/01
- メディア: 単行本
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空き家が増えるとどうなる?
空き家はどのくらい増えているかご存知ですか?
総務省の調査によれば、平成25年度時点で空き家は全国で約820万戸、空き家率は13.5%です。この空き家は、地方だけでなく都市部においても同様です。この原因の1つに少子高齢化も関係しています。
ですが、空き家が増えたからってなに?って思いますよね。
ーー空き家が増えることの悪影響
1.治安が悪化する
2.行政のサービスの低下
3.防災や衛生の問題
4.近隣の土地・建物の不動産価値の低下
【治安悪化】
廃墟に肝試しに行ったり、夏の特番で心霊番組とかで廃墟を観た経験はありませんか?
廃墟に行けばわかるのですが、落書きをする人や家の中を荒らす人が必ずいます。なぜ法律で「落書き」を禁止しているかと言いますと、軽犯罪率が多発するからです。
空き家が増えることで、空き家を荒らす人物が現れる。それに伴い、治安が悪化します。
【行政サービスが低下】
空き家が増えることで、税収が減ります。
税収が減れば行政サービスが低下します。たとえば、ゴミ回収の頻度が減るかもしれませんし、子育てしにくい環境になる可能性があります。
【防災と衛生】
最近でも大阪で大きな地震がありましたよね。そもそも、日本は地震大国です。
空き家のほとんどが手入れされておらず放置プレイ。家は使わなくなると急速に劣化スピードが早まります。つまり、地震が起きたときに倒壊する可能性が高まります。
あと、放火される危険性も高まります。
【近隣の資産価値低下】
治安が悪くて、行政サービスも悪くて、災害時にも不安が残る街に住みたいですか?
このような市街は人気が下がります。
人が減れば、周囲のスーパーやドラックストア、病院などの経営も厳しくなり廃業に追い込まれます。これに加えて、高齢者も福祉施設で集団生活が当たり前となり、都市部に人が集中。
コンパクトシティ化されるということは、都市部から離れた土地や家の資産価値はどんどん低下していきます。
上記状況は、マズイよってことで「空家対策特措法」が施行されたわけですね!
空き家所有のデメリット
空き家を所有することで貧乏になる?
空き家の維持管理コストはとても高いです。固定資産税は評価額によって算出されますから、一概にいくらとは言えませんが、平均で年間13万円程度ですかね。
これとは別に自分の持ち家があれば、それにも固定資産税がかかります。合わせて年間の税金だけで約26万円負担します。(※あくまでも概算値です)
そこに、空家対策特措法の第3条に管理義務もあります。つまり、所有者は空き家を適切に管理するよう努めなければなりません。これを無視すると、行政代執行(第14条)が可能となります。
つまり、行政が勧告や命令通知したのち行政代執行により、空き家を解体することが可能となりました。その費用はもちろん所有者に請求がきます。というか、国税滞納処分の手続きですので「強制的」に徴収されます。
とかく、空き家所有の経済的デメリットはエグいというわけです!
空き家活用。具体的な対処法
具体的な対象法はどういったものがあるのか?
まず、実家とは別に新築を建てた人は、親の持ち家が残ってしまいます。まだ、ご両親がご健在なら、相続時に「相続放棄」か「限定承認」をおすすめします。ちなみに勝手に親の資産を売却すると「単純承認」になるので注意してくださいね。
ーー相続を物凄く簡単に説明
【単純承認】
単純承認とは、簡単にいいますとプラスもマイナスの財産もすべて相続することです。つまり、親の借金も相続します。
【限定承認】
限定承認とは、簡単にいいますとプラスとマイナスの資産の差し引きプラス部分が残った場合は、プラスだけ相続します。これが、一般的な相続で一番多いケースです。
【相続放棄】
相続放棄そのままです。プラスもマイナスもすべて放棄します。その資産は国の持ち物となります。
ちなみに、相続には期限があります。その期限は「知ってから3ヵ月」です。3ヵ月経過すると単純承認したとみなされます。
ーーすでに空き家を所有している
具体的な方法は4つあります。
1.解体する。
2.リノベーションして賃貸経営。
3.コンバーション(仕様変更)
4売却
【1】解体
これはそのままです。
放置すればするほどランニングコストは増えるので解体しちゃいましょう!解体費用の相場は、木造なら概算で130万円ぐらいです。
【2】リノベーションして賃貸経営
リノベーションとはリフォームですね。
戸建賃貸も人気はあるので、賃貸経営しても面白いかもしれません。ただ、空室になった時は家賃収入がなくなるデメリットがあります。あと立地にも左右されるので、専門家にご相談したほうが良いです。
ちなみに、リノベーションをするなら、建築屋(工務店)さんに相談したほうがいいかもしれません。元不動産屋で建築屋になったところは、アフターフォローが悪く、雑な取引をされる人が多いと知り合いの建築士さんが言っていました。
【3】コンバーション
コンバーションとは、仕様を変更することです。
たとえば、元々居住用だったのを公衆の出入りする建物に化粧直したりすることです。建築基準法があるので、これもプロに相談してみてください。
【4】売却
日本の中古物件が流通しない理由として、木造住宅の減価償却が22年で0円ということも問題視されています。
つまり、新築から22年経過した建物は0円です。土地は地価公示による算出になりますね。
詳しくは、専門家にご相談してみてください。
まとめ
・空家対策特措法の施行により大きく変わった。
・空き家の所有のコストはエグい。
・空き家を上手に活用してみる。
いかがだったでしょうか?
今後、空き家はどんどん増えていきます。民泊とかに利用も出来そうですが、現状では法律の壁が待っています。新築をお考えの方は、同時に親の不動産のことも考えておくといいかもしれません。
相続もややこしいので、自治体にて無料の弁護士相談もやっています。あと、本書も法律が詳しく書いてあります。ご参考にしてみてください。